魍魎の匣 7話「もうりょうの事」
第七話「もうりょうの事」
このブログで、久保がとにかく少なくとも被害者のうち何人かは殺してるんだろうなと書き続けてますけど…今回のアバンとラストのおかげで、自分の予想が全く間違った方向へ向かってる訳じゃないのかなと思えたのと同時に、少しづつ久保の動機のようなものの一端や、次の被害者が誰になるのかさえも今回「見えた」って事でいいんでしょうか…。
■まずそのアバンとラストの映像を考えます。
最初は出版社の女性、小泉珠代からの手紙で…自分の短編集の作品の順番に悩む関口に、掲載順ではなく執筆順にすればとのアドバイスと共に、久保竣公が執筆した「匣の中の娘」のゲラ刷りが送られ感想を聞きたいと言う内容が…。
- 今まで、関口が久保の小説を読んでその幻想世界に自らの心身を置いているんだろうなぁ…というのは、書いてきましたけど。
ここで、ようやく…そうか、こういう流れで関口は読むことになったんだ!てのが明らかに。
それにしても、今回もどっぷり感情移入しすぎて完全に幻想の中に浸りきってる関口さんが(汗)
いや、自分もかなり感情移入して作品世界に浸るタイプですけど…久保の作品のような内容は、関口のようにずっぽりはまり切る人間が読むと、やっぱ精神バランスが崩れて余計に鬱がやばそうな(汗)
でもおかげでそうやって見ると、分かりやすい映像になるんだろうなと思うんですけど…。
●久保は子供の頃から潔癖症で、「弁当に隙間が空いてるだけで…怒りが勝って、もう食べない。そういうことばかりが気になる」と。
さらに「広い屋敷に独りになった。脳髄が肥大して、頭に鬆(す)が出来そうだ。一秒たりとも我慢が出来ぬ…」
(元々、久保の中に内に秘めた狂気はあったんだろうが…遺体と共に大きな家で一人居る様だから、きっと久保の肉親の誰かが死んだ事が狂気の引き金になったんだろうと思ったんですがどうでしょう…。確かいつか、祖母の墓の話が出てたから可能性が高いのは祖母だろうか…)
そして、以前その小説の内容として「棺桶が丸いのがいけない…匣にするべきだ。そしてみっしりと詰める。やり方がヘタなのか。その医者が知っているなら会わねばなるまい」
とも言ってるわけで…これはやっぱりどうしても、久保だけで収まりきる話ではなく、例の病院長の美馬坂が関わってくるだろうし、何事もきちんとしてなくては治まらない久保にとって単なる箱ではなく、正確無比な箱を作る技術を持ってる御筥様の教主も魅力的なんだろうな…。実際信者名簿にも居た事が分かったしねぇ…。
そして、この冒頭のアバンの光景は、さらにラストの映像に繋がってくる訳ですが…
「家を売って小さな部屋を借りた…(押入れの下段の隙間をさして)…気になった、まだ隙間がある、これでは駄目だ箱を作ってもらおう」…そして、すれ違う頼子との映像…。
これはどうみても、今度あの隙間に箱の中にみっしり詰められた上で収納されてしまう次の被害者は頼子ですよね…。
(何やら寸法まできっちり測ってるし…)
あとは、この事件に美馬坂と御筥様がどんな形で事件と関係があるのかだよなぁ…。この段階で、これだけ分かってきてる久保が単純にメインの犯人でしたってだけで終わるとは思えないわけで……。
そういう意味でも今回の「もうりょうの話」は興味深かったんじゃないだろうか…。
■「もうりょうの話」
関口は『そんなに大袈裟に困る事かい』と言ってたが
京極堂が気にした、“心に囲いを作ると魍魎が宿る”という御筥様の教え…が、まさに『御筥様の教主は知ってか知らずか魍魎のイメージを的確に捉えているようだ』と判断したのは非常に重要な言葉だと思うんだよなぁ…
知ってて魍魎のイメージを正確に教主が掴んでるとしたら…事件自体に魍魎が実際に絡んでくる可能性があるわけで…そうなると、事件解明のアプローチの仕方が通常の場合とは明らかに変わりますもんね。
そういうわけで、その魍魎の薀蓄です…好きなジャンルの話とはいえ、活字がないと、ついていくのが大変だったので…間違ってる部分があればすみません教えてください(汗)
分かった範囲でまとめると…魍魎は諸説諸々あるわけです。
●まず罔両と書く場合、陰の回りに出来る薄い陰と言う意味があったり
●罔象と書くと、中国の方では、水から生じる怪(水の精とか)を指していて
それを和風に読むと(ミズハ)つまり伊邪那美(イザナミ)が火産霊(カグツチ)を産んで焼け死ぬ際に苦しみ流した「ゆばり」(尿)より産まれた罔象女神(ミヅハノメノカミ)の事で…まぁこれは日本の水の神の代表格のような神の一人なんですが…とにかく、こういう水と関係が深い怪と見る説がある、一方で史記では木石の怪と言う説も…。
じゃあ全く容が定まらぬのかと言えばそうではなく…
●例えば江戸時代の根岸鎮衛の『耳袋』には、柴田という侍の従者が、ある晩枕元に立ち暇乞いをし「自分は人間ではなく魍魎で、一里先の死骸をとる役目が回ってきた」と言い、実際にその村では葬式の場が黒雲で覆われ、棺の中の死骸が消えたという話が残っている。
『本草綱目』にも「罔両は好んで亡者の肝を食らう」とか、他の文献にも罔両と同一視される弗述(ふつじゅつ)というのがいて、これは死人の脳を食べる」と。
江戸時代に出された妖怪画集の1つには…火車に乗ったのが魍魎だとも言われてると。
●一方『方良』と書く場合。
追儺の儀という方相氏が矛と盾を持って内裏を巡り厄を祓う儀式が関係していて…。
日本では鬼を払うが、本家の中国では魍魎を祓う儀式だと。
さらにはその後発展した陰陽師の専門分野、四角四界祭の話なども出てきて…まさに鬼相手ならば京極堂の専門だが…魍魎はそれ以上に古くとらえどころのない厄介な存在と言う事に…。
で、ここまでで分かってきた中で
■共通点は墓穴に湧く屍を食らう罔両と、方相氏が祓う方良は共に死体にまとわりつくイメージがある。
ただ水と関係のある怪罔象は一見関係がなさそうだが…京極堂によれば…罔象女神(ミヅハノメノカミ)は井戸の神でもあるわけで、墓穴も井戸も四方を壁で囲まれた穴で、どちらも黄泉の国、つまりあの世への入り口とされるもので…一見バラバラに見えた諸説も全てが繋がってくると。
■要するに総じて考えてみると京極堂的には…
墓穴や井戸の四辺の縁(ふち)、それは深く深くあの世へと続く深淵の入り口。そしてそこには、ぼんやりとした陰ならぬ陰、すなわち魍魎が出来る。
あの世とこの世の境界に湧く何か禍々しいもの、それが魍魎の原初形態だと。
(現時点での京極堂の思いつきで、まだ論にもなっていないと断ってはいるが…)
という事で、もし魍魎のイメージを正確に教主が掴んでるなら、匣に絡んで…ただの殺人事件にとどまらず今回の事件にはこういう禍々しい「何か」がでてくる可能性は高まるのかな…と思うんですがどうなんだろうねぇ…。
鳥口は、穢れ封じの御筥様の信者リストを入手して…バラバラ事件で身許が判明した唯一の少女が、清野が持ってきた御筥様の帳簿に載っているし、失踪少女のうち被害者の可能性が高いのが13人で、その内7人までもが御筥様の信者の娘だから教主が喜捨を吊り上げる為に犯行を犯してるのでは、と言ったものの…そんな単純なものではないんだろうな…。
京極堂も、「どう…かな」と言って判断を下すにはもう少し情報が欲しい、と言ってるくらいだからどちらにしても、まだ断定は出来ないですが。
最後に今後の為に京極堂が欲しがった情報や指示も重要になりそうなので挙げときます。
御祓いの具体的な方法。
呪文のやり方と呪文の種類、祭具は何を使うのか。
清野が持ってきた帳簿の情報を警察に流すようにと言う指示。
例のハコ型(四角)の研究所にくれぐれも近づかないように念押し。
また、来週…なんですが、おそらく来週は仕事の関係で家を離れているので、かなり感想が遅れると思いますが…このアニメは遅れても必ず上げますのでよろしければ待っててくださいませ。
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コメント
京極堂は妖怪や化物が大好で、シリーズの他の作品中でも妖怪について饒舌に語っています。そんな京極堂ですが、超能力や心霊現象の類は大嫌いなのです。
ラスト近くで京極堂が、『美馬坂研究所に近づくな』と関口たちに念押しした理由とは。。。
投稿: ベレッタ | 2008年11月19日 (水) 23時15分
ベレッタさん返事が遅くなりました。
コメントありがとうございます。
京極堂の、その好きと嫌いの境の理由がイマイチまだ自分には謎です(汗)
見ているうちにそれも分かるのでしょうか…。
あの施設は間違いなく重要ですよね…ふむ。
投稿: テク | 2008年11月22日 (土) 05時05分